cafe_cure

ひとりの男が夢を語った。

それは、ある土地にカフェを作りたいというものだった。

そのために一棟分の古材もストックしていると。

よくある話のようにも思えた。

しかし、敷地を訪れると印象は一変した。

そこには、十数本の大木が無造作に生えていて、樹々のあいだは藪(ヤブ)だった。

隣は野菜畑。

「樹は伐らないように」

条件は、それだけだった。

よく晴れた日に、また別の雨の日に、何度も自然と計画敷地に足が向く。

ボクは樹々あいだの藪の中を、樹の位置と種類や大きさを調べたて歩いた。

そこを訪れる人も、働く人も笑顔になるように。

そんな、癒しの場の計画だった。

建物の中に入っても森の中にいるような、やさしい空間になるとイイなと思った。

やさしいだけじゃなく、なにか骨太の安定感も必要だと思った。

男の夢と、風の声が重なるような気がシタ。

樹々あいだに、そっとブリキの屋根を配置する。

建物の内部には、自然と時間が交錯するような空間を。